THE NEUTRAL =歩道橋の上=

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2008/01/04

ボクの笑顔を引き出してくれた人

ボクは昔から「笑顔がとても良い」と褒められる。
自分ではその良さが分からないが、とにかく良く言われる。
ライブ中も「あんなに笑うヴォーカルは珍しい」と笑顔を褒められる。
敏腕デザイナーさんが、「しげる君の笑顔には独特の魅力がある」とデビューシングルもボクの笑顔ドアップが採用された。
人一倍顔をくしゃくしゃにして表情筋すべてを使って笑っているように見えるらしい。本人は特に意識していないのだが。
ただ、そう言われるようになったには、ひとつだけ思い当たる節がある。

あれはまだボクが小学校低学年の頃。
その頃のボクは、優等生の兄の下でグズっている典型的な劣等生。
早生まれからか、発育も頭の回転も周りの子供よりも遅く、いわゆる落ちこぼれ。
母のスカートの影で人の顔色ばかり伺い、笑う時もぎこちない笑顔。

そんな当時のボクを、近所のおばちゃんでただ一人褒めてくれる人がいた。
その人は会うたびに「しげちゃんは良い笑顔してる！」
「しげちゃんはもてるでー！」
「しげちゃんの笑顔は１００万ドルの笑顔や！」
と、ボクに言ってくれた。
もう一度言っておくが、当時のボクは鈍臭い劣等生である。モテそうな兆しもありゃしない。

でも、ボクは嬉しかった。
嬉しくて嬉しくて、自然に笑顔がこぼれた。
するといつもおばちゃんはさらにボクを褒めてくれた。

時には冗談で「しげちゃん！お尻触らせて！！」とか、「しげちゃんやったら私が引き取って親になってもええ！！」と過激な発言もあったが、優等生の兄貴ばかりを褒める大人の中、このおばちゃんの言葉はいつもボクを支えてくれた。

そういえば、中学校の時に親に内緒でこっそりバイトをしているのをおばちゃんに見つかり、お金に困っていると思ったのかこっそり１万円をもらった事もあった。
金額の問題ではないが、本当に可愛がってもらっていたんだなぁと思う。

年末、実家の近くでおばちゃんと偶然会った。
おばちゃんは相変わらず「しげちゃーーん！」とボクと握手をしてくれた。
ボクは笑っていた。
色んな人から褒められるようになった笑顔を、それを引き出してくれた人に向けて笑っていた。
ボクはもう、笑顔が自然に出せる人になっていた。
ありがとう、おばちゃん！！